【専門家が教える】契約書の作り方。〜委任と請負〜

今回は”契約書の作成”についてのお話です。
他人と新しくビジネスを開始するにあたって、
契約書を交わすことはトラブルを未然防止するために、
大変有効な方法です。
口約束ではなく、
書面上でサインとハンコも用いて約束を交わせば、
・”言った言わない”という事態の回避
・高い証拠能力を得る事ができる
以上のような効果を得る事がd
より精度の高い契約書を作成するためには、
各契約の性質の違いを性格に理解し、
実態に照らしあせて、契約の種類を使い分けることが、
トラブルの防止にあたり重要なことです。
そこで契約の中でも比較的使われる頻度が高い、
- 委任
- 請負
以上の2つの種類の契約の違いについて、ご案内していきます。
”委任契約”と”請負契約”の違い
”委任契約”と”請負契約”
この2つの契約の違いは次の通りです。
委任契約:行為を行なうことを目的とした契約
請負契約:仕事の完成を目的とした契約
委任契約とは
委任とは、行為を行なうことを目的とした契約です。
例えば、
外科医師に大腸ガンの切除を依頼すること
この依頼は性質上、委任契約です。
お医者さんは”ガンを切除する手術”の依頼を受けており、
”手術”という行為を行います。
結果、
ガンが全部切除され患者が完治しても、
患者の容態が急変し、お亡くなりになられても、
”手術”という行為を持って委任は達成されています。
手術に失敗したからお金は払いません。
というわけにはいきません。
”ガンの切除”という、
目的完成が不確実な行為について、
患者は外科医師Xという、
高度の専門知識を持つ人物を信頼して、
手術方法、処方する薬、術後の診療行為を任せます。
その代わり外科医師Xは専門家として
患者に対し細心の注意を払います。(善管注意義務)
このような性質の契約は”委任契約”となります。
請負契約とは
請負とは、仕事の完成を目的とした契約です。
請負の事例は次のような行為です。
大工に家の建築を依頼すること
宮大工さんは、”家の建築”という、
仕事の完成を依頼されているのです。
成果物が設定されています。
家を完成させないと報酬はもらえません。
委任は行為そのものに対して報酬が発生しますが、
請負は目的の達成に対して報酬が発生します。
まとめ
”委任と請負”の違いとは行為の目的にあります。
同じ職業でも行なう業務によって、
契約の性質が変わります。
われわれ司法書士は裁判業務も行ないます。
訴額140万円以下の民事裁判に限定されていますが、
この場合の裁判業務は”委任”に該当します。
依頼者の代わりに裁判を行なう行為が目的であり、
勝っても負けても着手金は貰えます。
(成功報酬は貰えません。)
一方、
今回テーマである契約書作成のような案件は、
”請負”的な業務です。
お客様のご要望に添った契約書を作成し、
納品しなければ報酬はいただけません。
契約書を作成する上で重要なことは、
事業内容、契約書を作成する目的を把握し、
それにあった形態の契約書を作成すること。
正確な実態把握を基に、
最適な形式の契約書を作成することです。