司法書士が教える借金問題解決の方法【前編】

消費者金融業者やサラ金業者といえば、ひと昔
前であれば、テレビコマーシャルを大々的に流
し、全く外部の門外漢の私でも、「儲かっている
んだなぁ」と思ってしまう勢いでした。
もっとも盛んであった頃は、テレビはもちろん、
電車の中吊り広告やビルの看板など、日本中を
占拠しているような状態でしたよね。
しかし、現在ではテレビコマーシャルも減り、
尚且つ、多くの業者が銀行の傘下に入っている
状態です。(かといって儲かっていないという
事にはなりませんが・・・。)
消費者金融が昔ほど儲かっていないのは確かで
しょう。
しかし、借金の問題がこの日本からなくなって
しまったというわけではありません。
今回は、今もなお人々を悩ませている借金問題
について、その対応法をご紹介します。
この記事の目次
債務整理方法1 過払い請求
過払い金請求
先程、消費者金融の隆盛について書きましたが、
消費者金融の勢いを失わせた動きの一つはこの
過払い返還請求の対応だったと思います。
実際問題として、その後、電車の中吊り広告は
債務整理を得意とする弁護士や司法書士が占拠
していました。
それくらい巨額のお金が過払い金として返還さ
れています。過払い返還請求というのは、詳し
くは割愛させていただきますが、簡単に言うと、
借主が払いすぎている利息を貸主に返してもら
う請求の事です。
色々な事情があり、過去に消費者金融から借り
入れがあり、完済をした人や、返済中の人は、
消費者金融に対してお金を返すよう請求できる
訳です。
しかし、過去に消費者金融と取引があったなら、
誰しもが過払い金の返還を請求できるわけでは
ありません。
消滅時効制度
法律上の請求権には時効という制度があり、過
払い金の請求については、最終の返済日から10
年を経過してしまいますと消滅してしまいます。
請求権を放置しすぎたために腐ってしまうと、
そう考えていただければわかり易いかもしれま
せん。
決断が必要
いつ頃に最後の完済日が経過していて、どの程度
の取引の履歴があるのかは、弁護士や司法書士に
相談いただければお調べできます。
最近では私も含め、その手の相談は無料で実施し
ている専門家がほとんどですので、お気軽にお声
かけ頂ければと思います。
実際問題として、今も消費者金融の返済をしてい
る人も多数おられると思います。
自分がどこからどれだけ借りていて、月々にどれ
だけ返済にお金が必要かという事がわからなくな
っている人も少なくはないでしょう。
取引が、複数の消費者金融とカード会社、保険会
社などになってくると、返済のための借り入れも
必要になり、月々の返済がどの程度できているの
かもわからなくなってしまいます。
そのような状況になると、借金に慣れすぎてしま
い、むしろ整理後に取引ができない(いわゆる
金融ブラック)状態になることを恐れてしまうと
いう負の連鎖が起こります。
しかし、このまま借金を返し続けることが負担に
感じた時点で、決断をするべきだと私は考えます。
債務整理方法2 任意整理
任意整理
任意整理という方法があります。どういったもの
かというと、各債権者と話し合いで債務を減額し
てもらったり、返済期間を猶予してもらったり、
利息をカットしてもらったりする事です。
上で紹介した過払い金返還請求も任意整理の一部
なのですが、過払い金がある場合には過払い金返
還請求、ない場合は任意整理という区別で良いと
思います。
弁護士や司法書士といった専門家を代理人にたて、
債権者との交渉をしてもらうので、ご自身で債権
者と話し合いや交渉をする必要はありません。
というより、ご自身で交渉しても取り合ってくれ
ないでしょうから、専門家に依頼する必要があり
ます。
任意整理のデメリット
任意整理にはデメリットはほとんどありません。
確かに、任意整理をすればその後5年間は、ロー
ンやカードの審査は降りず、いわゆる金融ブラッ
クの状態になります。
しかし、浪費癖で借金を作ってしまった人にとっ
ては、それを直す良い機会と言えなくもありませ
ん。むしろチャンスかも知れません。
任意整理のメリット
デメリットの少ない任意整理ですが、メリットは
たくさんあります。
まず、任意整理は債務整理の中でも、裁判所を介
さない手続きであるため、非常にスピーディーで
す。裁判所を介した場合、裁判所のアクションを
待たなければ次の段階に進めなかったり、法律で
定められた期間を待たなければならなかったりと、
待ち時間が非常に長いです。
その点、任意整理は債権者との直接のやり取りに
なりますので、返答があれば、即、次の段階へ進
めるわけです。
大げさに言えば、債権者がその場で減額すると言
えば、減額という事になります。
裁判所を通さないメリットとして、ある特定の債
権者のみに対して実行できることも挙げられます。
これによって、例えば家を持っている方なら、住
宅ローンのみを残してその他を整理する事も可能
になりますし、消費者金融のみ整理して、親から
の借金だけ返すという事も可能ではあります。
そして、専門家に依頼し、専門家が債権者に依頼
を受けた旨を通知をした時点で、取り立てはスト
ップします。
多重債務に陥っている場合、債権者からの郵便物
や電話は精神的にも打撃が大きく、ともすれば、
鬱を発症させる原因にもなりかねません。
そうなってしまっては返せるものも返せなくなり
ますし、その後の生活にも支障がせるでしょう。
そうなってしまう前に、専門家に相談することを
強くお勧めいたします。
まとめ
今回では債務整理の中でも、過払い金返還請求と
任意整理について書かせて頂きました。
この二つの手続きの他に、破産申立と個人再生と
いう手続きがあります。
どの手続きについても特徴があり、メリットとデ
メリットがありますので、状況によって使い分け
なければなりません。
どの手続きを選択するのが最も適切かは、自分で
判断せずに、専門家にご相談されることを重ねて
お勧めいたします。
借金の態様は人それぞれですし、債権者にも特徴
があります。やってしまった後にやり直しは出来
ませんので、慎重に判断することが必要です。