【あなたを守る】ブラック企業超対処術 後編

どうも、久々に運動をしたら筋肉痛が三日目に
突入している司法書士城田です。
こんなに筋肉痛が続いてしまうと、最早運動す
る事それ自体が体に悪いのではないかと勘ぐっ
てしまいますが、多分私の体が鈍らになり過ぎ
ていただけでしょう。
まあ、何事も急にやると柳沢みたいに対応でき
ないという事ですね。
先週の更新時と言っていることが全然違うので
すが、中の人は変わっていませんので安心して
くださいね。
社会が変化するように、人間も日々変わってい
きます。
私も先週の私とは違うわけですね。
なんか宗教チックな話になってきましたが、宗
教チックと言えば、ブラック企業にも通ずると
ころがありますね。
やや強引な気がしますが、先週に引き続きブラ
ック企業から未払いの残業代を取り戻す為に、
どういった書類を収集すべきかという点にフォ
ーカスして書いていきたいと思います。
この記事の目次
ブラック企業との契約書
雇用契約書などなど
そもそも、あなたがブラック企業で働き始めた
のは、ブラック企業と雇用契約を結んだからに
決まっています。
ボランティアで働き続ける人はいないでしょう
から、会社とあなたは労務を提供する代わりに
賃金をくれ、といった内容の契約を取り交わし
ているはずです。
その事を証明する書面が必要になってきます。
具体的には、雇用契約書や労働契約書、または
雇用通知書という形で一方的に会社から渡され
ている場合もあります。
会社側は人を雇用する場合に、一定の労働条件
を明示しないといけない訳です。
この書面を取り交わしていない会社も中にはあ
るとは思いますが、もしも手元にある場合は大
切に保管しておいてください。
なぜこの書類が必要かと言いますと、前回にも
書いたのですが、請求権の存在は被用者側(雇
われている側)で証明していかなければなりま
せんので、そもそもあなたを雇っていないと言
われてしまうと反論の材料が必要になるからで
す。
「あれだけ働かせておいて、雇ってないとはど
ういう神経してるんだ!」と言いたくなってし
まうかもしれません。
しかし、裁判とはそういうものだと割り切るし
かありません。
そもそも論として、相手はあなたの事を使い捨
て程度にしか思っていないから訴訟が始まった
わけですしね。
そして、雇用契約書には多くの場合、給与の計
算方法や残業代の支給についての取り決めがな
されていますし、会社があなたに残業を命じる
ことが出来る旨も記載されている事でしょう。
そういった事を証明するためにも必要になって
きます。
就業規則
労働基準法第89条という法律があります。
どの様な法律家を大雑把に言いますと、常時1
0人以上の労働者を雇用している会社や事業所
では、いくつかの事項について、就業規則を作
成して行政に提出しなければならないですよ!
といった所でしょうか。
そして、労働基準法第106条では86条の就
業規則は所定の方法により、働いている人々に
周知しなければならないと定められています。
という事は、10人以上(アルバイトも含む)
が働く事業所においては、就業規則が働き手に
周知されていなければなりません。
就業規則には始業時間や就業時間、休憩や休暇
の事から、賃金の事についてまで定められてい
るはずです。
もしも手元にあるなら、それらの事を立証する
証拠として使うことが出来ますので残しておか
なければなりません。
上で紹介した書面に関しては、会社側が用意し
なければならないにもかかわらず、実際には用
意されていないという事も十分にあり得ます。
そんな場合は労働基準法の原則通りの基準にの
っとってこちら側の主張をしていくことになり
ます。
しかし、無ければ無いでまだほかにやりようが
ある書面でもあります。
【確実なブラック企業対策法】退勤時間を立証する
タイムカードの記録をしっかり取る
会社に対して未払いの残業代を支払ってもらう
ためには、「使用者が労働者の労働時間を延長
したこと」と「労働者が延長された労働時間に
おいて労務を提供したこと」も合わせて証明し
ていかなければなりません。
これらの事を証明していくための書面として、
一般的なのはタイムカードでしょう。タイムカ
ードの証拠としての評価は非常に高く、しかも
退勤時間だけでなく、日常的に時間外労働がさ
れていることがタイムカードで明らかであれば、
会社から黙示的な残業の指示があったこと(使
用者が労働時間を延長したこと)も立証するこ
とが出来ます。
残業代の請求は、請求しないまま2年を経過す
ると請求できなくなってしまうのですが、逆に
言うと、2年分は請求できる訳です。ですので、
可能であるなら過去2年分のタイムカードを証
拠と提出したいところです。
タイムカードをしっかり取るとは言ってみたものの・・・
そもそも論として、相手はブラック企業です。
タイムカードがない会社もはあるでしょう。
そういった場合どのような証拠で自分の主張の
正当性を証明することが出来るでしょう?
証明すべきは「使用者が労働者の労働時間を延
長したこと」と「労働者が延長された労働時間
において労務を提供したこと」です。
考えられるものとしては、会社のメールアドレ
スから自分のメールアドレスに対して退勤時刻
にメールを打つことです。
会社のアドレスからであれば、その時間まで会
社にいたことはあきらかになります。メールの
内容としては、「仕事を終えたこと」「残業の
指示が誰から出たか」「何の業務をしていたか」
がわかるような文面が良いです。
それでも、その時間に本当に仕事をしていたこ
とが明確に証明できるわけではないので、業務
メール(例えば取引先に送信したメール)の履
歴をプリントアウトしておくことも有効です。
本来であれば、残業指示書や残業承認書が望ま
しいですが、サービス残業が常態化している会
社では存在しない方が普通でしょう。
最後に
ここまで読んでいただいた方は、「悪いのは会
社なのになぜこっちばかり色々集めなければな
らないのか!」と憤りを感じている方も居るで
しょう。
お気持ちは痛いほどわかりますが、法治国家に
おいて法律がそうなっている以上は、それは仕
方がないと割り切っていただくしかありません。
自分の望みをかなえたり、通したりする場合は
戦いが必要になります。
私たちが当然に行使している選挙権にしても、
たくさんの人の血が流れてやっと私たちの手に
入りました。
歴史的に見れば、人間社会というのは理不尽な
構造になっているのです。
先人が私たちの為に血を流したことを考えれば、
書類を揃えることに一体どれほどのリスクがあ
るでしょう?
そして、あなたがそれをする事で、悪い会社は
淘汰されていくのです。
最初は小さい波紋でも、時間を経るごとに大き
な波紋になっていくことでしょう。
そんなあなたのお手伝いをさせて頂けたら光栄
に思います。