知らないと損をする悪質業者の手口と対処法

司法書士の城田です。
いよいよ本格的に寒くなってまいりましたがけ
れども、皆様いかがお過ごしでしょうか?
今年は12月に入ってからもやたらと暖かい日
が続いていましたので、ようやく冬らしい気温
になってきましたね。体調には気を付けたいも
のです。
どこの業界もそうですが、年の瀬になると忙し
くなるもので、かくいう私も、さすがに年末く
らいは忙しく働いております。
そんな中で、色々な人からとんでもない話を聞
きましたので、ご紹介させて頂こうと思います。
詐欺?営業手法?
詐欺の境界線
先日、ある経営者の方と話していたのですが、
その方の会社にビジネスフォンの勧誘電話、所
謂テレアポがかかってきたそうです。
この社長の会社では、少し高齢の女性が事務や
電話対応を担っているのですが、その女性が何
度断ってもしつこく電話がかかってきたので、
社長が対応したそうです。
そうすると、相手の電話会社の切り口は、要約
すると以下の2点だったそうです。
「以前に弊社が御社で回線の工事を請け負った」
「その回線の点検に伺いたい」
これを見て皆さんはどう思われますか?インタ
ーネット回線にしても電話回線にしても、事務
所で何かしらの工事はしてきてるわけです。
そしてその工事業者の名前まで覚えているでし
ょうか?
自分の自分が契約したインターネット回線が、
フレッ○なのかE○なのか・・・その程度は認
識しているでしょうが、その下請け会社である
工事業者の名前は同業者の方以外覚えていない
のが普通でしょう。もしかしたら、同業者でも
覚えていないかもしれません。
この業者はそこを突いてきてるのです。
点検と言われればさすがに招き入れてしまう事
が多くなるわけです。いったん招き入れてしま
えば、あとは点検そっちのけでビジネスフォン
の営業トークが展開されていくわけです。
というか、点検そっちのけと書きましたが、そ
もそも点検できるものなどありません。
なぜならその業者は過去に工事など請け負って
いないからです。
初めのアポイントの段階で嘘があるわけですが、
それだけでは詐欺とは言えません。
クーリングオフは出来ない
ビジネスフォンそれ自体は人によっては非常に
便利です。私も詳しくはないのですが、売上が
上がっている会社であれば、節税効果もあるよ
うです。
しかし、実際は実現できない効果をあると騙し
たりすれば、これは詐欺になりえる訳ですが、
アポの段階での嘘は罪にはならないでしょう。
ただ、人情としてはその業者のようなやり方に
対しては嫌悪感が生じるのは当然でしょう。
結局、その社長は嘘に気づき、立ち去るように
勧告したにもかかわらず、長く居座られたため
に口論となり、警察を呼んだそうです。
今回の社長はしっかりと状況を判断し、幸いに
も撥ねつける事が出来ました。しかし、もしも
口車に乗ってしまい契約していた場合はどうな
っていたでしょう?
裁判をした場合、一般的に、詐欺や錯誤を立証
するのは非常に難しく、費用も時間もかかるた
め費用倒れに終わるでしょう。
そもそも、裁判なんてしなくてもクーリングオ
フという制度があるのでは?と思う方がいるか
も知れませんが、クーリングオフは消費者と事
業者との契約に適用されるものです。ですので、
今回のような事業者間の契約ではクーリングオ
フは使えません。
そして、このケースの最も恐ろしい所は、クー
リングオフは個人事業主にも適用がない所です。
田舎の細々とおじいちゃんとおばあちゃんが営ん
でいるような個人商店でもクーリングオフは出来
ません。
そんな事を想像すると、胸が痛いような、気分が
悪いような、何とも言えない気持ちになってしま
いますね。
私も含め、皆様も気を付けましょう。
悪質不動産業者
収益物件の落とし穴
これはある不動産業者さんから聞いた話です。
その業者さん(仮にA氏としましょう)に相談に
来たお客さんがいたそうです。そのお客さんの話
では、高齢の父がある不動産会社の営業マンの提
案にのって、持っていた土地に賃貸マンションを
建てたそうです。
ここまでならよくある話なのですが、そのマンシ
ョンの建築費用が2億円であるのに対して、満室
になったとしても月々の銀行への返済を引くと、
何度計算しても月5万円しか利益が出ない。とい
うのです。
建築費用の2億円を銀行から借り入れているから、
月々の返済が出てくるのは仕方がないとして、満
室でも5万円しか利益が出ないというのは異常です。
元が2000万円ならわかりますが、2億円の物件
です。
正直、相続税対策として銀行から借り入れをして、
資産を圧縮するために収益物件を建てるという節
税の手法がある事はあります。(その手法が本当
にメリットがあるかというのは、やや疑問があり
ますが・・・)そういった場合の収益物件は、も
ともと立地も良くなかったりで、収益は二の次に
なっていることもあります。
しかし、今回、A氏に相談に来た一家にはそのよう
な意図はなく、ファイナンス目的の収益物件建設
だったようです。要するに、営業マンからは「儲
かりますよ」と言われていたとの事です。
驚くべき悪質業者
A氏が色々と調べてみたところ、どうやらその方の
資産状況では、まず借入が2億円までしか出来な
いことが判明しました。
要するに、ギリギリまで借りている。もっと言う
と、借りれるだけ借りさせられている訳です。
そして、そのマンションが建っている土地につい
てはもっと建ぺい率も容積率も取れるのに、建て
たマンションは建ぺいも容積も余裕がある状態で
あるという事も判明しました。
やりようによってはもっと部屋数を増やし、収益
性を上げることが出来たのです。
最後に、立っているマンションは鉄筋コンクリー
ト作りの物件だという事。
これらの事を考えてA氏が出した結論は、鉄筋コン
クリートのマンションで、これ以上高い建物にする
ほどの資金は取れない。しかし、軽量鉄骨のハイツ
を建てたのではでは建築を請け負っても自社の売上
が少なくなってしまう。
よって、収益性が上がらないことを承知で、2億円
の枠の中で、自社が最も儲かる提案をしたという事
です。
会社が自分の利益を追求するのは当然です。しかし、
その利益が顧客の損失の上にしか成り立たないもの
であるならば、それは悪だと思います。
成果主義の弊害とでも言いましょうか、この営業マ
ンは売上成績が必要だったのでしょう。A氏曰く、
その会社はテレビCMもやっているような大手企業
だそうです。(私の記憶では、元スポーツ選手がCM
に起用されていましたね)
最後に
悪質業者や特殊詐欺など、現在の日本には様々な手
口で、普通の人からお金をだまし取ろうという輩が
跋扈しています。
ただ、特殊詐欺はともかくとして、悪質業者の場合、
営業マン本人は悪意がなく、会社の教育で軽い洗脳
状態なのかも知れません。故に、悪質かどうかは見
分け難いとも言えますね。本人に自覚がない訳です
から・・・
こういった事を防ぐには、本契約前に第三者に契約
内容を見てもらう事が一番有効でしょう。
最終的には自分の身は自分で守るしかありません。
何かが起こってからの対応では、どうしても問題を
根本的に解決することは出来ません。
その為には、普段から相談できる人と関係を持って
おく必要があります。
そんな時、司法書士なんてどうでしょう?
「最後はお前が営業すんのんか~い!」笑