
今回は、
合同会社の設立についてのお話です。
普段聞き慣れない”合同会社”という種類の会社ですが、
実は大きなメリットがあります。
平成18年に会社法が施行されて、
(それまでは商法という法律の中に会社の規定がありました。)
新しい種類の会社が設立できるようになりました。
その内一つが”合同会社”という種類の会社です。
この記事の目次
株式会社と合同会社の違い
会社には大きく分けて次の2種類があります。
- 株式会社
- 持分会社
株式会社
株式会社とは、
株主が出資し、株式を取得します。
その株式の数に応じて、株主は、
会社の経営に参加する権利と、
会社が生み出した利益を得る権利を持ちます。
上記の経営参加の一環で株主は会社の社長を決め、
社長は会社運営を行います。
よって株主と経営者との関係は、
切り離されています。
皆様の多くがこの説明を読んで、
ピンとこないのは、
株主=株主のオーナー企業が多いからです。
持分会社
一方、持分会社とは、
社員が会社に対して出資します。
社員自らが、会社に出資し、
その社員が会社の意思決定を行い会社運営をします。
出資割合にとらわれず、
社員の意思が尊重される会社です。
持分会社は以下の3種類に分かれます
- 持分会社
- 合資会社
- 合同会社
各会社の違いは社員の種類です。
持分会社の社員には以下の2種類があります。
- 無限責任社員
- 有限責任社員
無限責任社員
例えば、
会社が100億円の負債を抱えて破産したとします。
無限責任社員の場合、
その名の通り”無限に責任”を追います。
自分の全財産を持って会社の負債を背負います。
有限責任社員
一方、
有限責任社員は自分の出資した範囲、
300万円の出資であれば300万円を持って、
その責任を果たします。
合名会社は無限責任社員のみ。
合資会社は無限責任社員と有限責任社員。
合同会社は有限責任社員のみ。
社員の構成の違いです。
つまり持分会社の中では、
合同会社が社員個人の責任が一番軽く。
加えて、持分会社の性質である、
社員自らの意思決定権もあるのです。
そういった意味では、
バランスのとれた会社ですね。
以上、合同会社の性質をご案内したところで、
次は、合同会社設立に当たってのメリットです。
合同会社を設立する2つのメリット
- 設立費用が格安
- 会社の維持が簡単
設立費用が格安
合同会社の設立の大きなメリットは、
設立費用の安さです。
株式会社を設立する場合、その手続きの過程で、
公証人による定款認証という手続きがあります。
会社の基本的な決まり事を記した書類である、
”定款”の内容が会社法上であると、
公証人にお墨付きをもらう手続きです。
この定款認証には、
認証費で5万数千円、
紙申請の場合、印紙代が5万円、
(司法書士に依頼すれば、この5万円はカットできます。)
の経費がかかります。
要するに定款認証の手続き費用として、
10万円少しかかってしまうわけです。
合同会社の設立は、
この定款認証の規定はありません。
つまり株式会社の設立に比べ、
設立にかかる諸経費が安くつきます。
会社の維持が簡単
株式会社には決算公告義務が課されています。
株式会社は毎年決算時に決算書を
公告しなければなりません。
第440条
株式会社は、法務省令で定めるところにより、
定時株主総会の終結後遅滞なく、
貸借対照表(大会社にあっては、貸借対照表及び損益計算書)を
公告しなければならない。
合同会社には決算公告義務が無いため、
この手続きに関する手間と経費が省略できます。
こんな方に合同会社がオススメ
特に次の3つタイプの経営者の方には、
合同会社の設立がオススメです。
- スリーランスで個人のマネジメント会社を設立したい方
- 飲食・美容事業の方
- ベンチャー起業したい方
個人のマネジメント会社を設立したい方
デイトレーダーや、コンサルタント業、
予備校講師などフリーランスで事業をされていて、
収益が大きくなってきたので、
税金対策として法人化を検討している方で、
とりあえず法人化を取得したいという方には、
合同会社がオススメです。
合同会社のデメリットは認知度が低いという点ですが、
既に事業が確立されていて収益も安定している方にとっては、
この点は影響ありません。
法人化することにより親族の方を役員として、
役員報酬を支払うことにより節税にも繋がります。
飲食・美容事業の方
前述の通り、
株式会社と比べ合同会社は認知度が低いので、
よく名刺を交換するような業種の方は、
合同会社に抵抗を持たれる方がいらっしゃいます。
飲食・美容事業をされている方は、
既に屋号をお持ちですので、
法人が合同会社であっても影響は少ないです。
ベンチャーの方
後は、設立にかかる費用を
なるべく抑えたいベンチャーにも向いてます。
事業が軌道に乗った時点で、
株式会社に移行することも可能だからです。
また、合同会社は出資額の大小を問わず、
配当を行なう事ができますので、
資金力の弱いベンチャーの方も、
共同出資にて合同会社を設立することができます。
まとめ
認知度はまだまだな合同会社ですが、
近年、その設立件数は増加しています。
みなさまもご自身の事業にあった種類の
会社設立を検討されてはいかがですか。